遠征日記 3月26日
<三浦豪太日記>
今日はタンボチェに移動する日だ。
毎回、ここの標高4000メートル台への行程が鬼門だ。
03年のエベレストの時は下痢で水分不足になり不整脈がでた。
去年は血便がでて体の調子が悪くなる。
タンボチェは4300m。通常4000mに大きな壁があるというが、まさにタンボチェからディンボチェにいく行程がそれなのだ。
そのため、今回はかなり慎重だった。
快晴の中トレッキング
特に食事に関しては辛いもの、油ものを避けてなるべく消化のよいものを選んだ。おかげで父の体調はよく、快調にタンボチェまで来る。
しかし、僕たちに日本から同行した産経新聞社の方が下痢になってしまった。
かなり辛そうな顔をしながら、取材のためとはいえ、一生懸命ディンボチェまでついてきてくれた。僕達は過去にみんな同じ思いをおおかれ少なかれしているので、気持ちはよくわかった。
この高度では、腹を下しやすいのである。
高所で酸素が少い分、胃腸にも酸素が充分にいきとどかない。それに加えて、移動の毎日のトレッキングや衛生問題などを加えるとむしろ健康的に過ごすことが難しい。
僕は、お腹をこわすことは、高所を目指す者たちにとって一種の洗礼だと思っている。
4000mを超えるとさすがに酸素の少なさを感じる。
03年の時、エベレストの6000メートルのハイキャンプで高度順化を行った後、ここディンボチェにアタック前の休養に降りてきた。その時は空気が濃く感じたが、今回のように久しぶりに下から登って来ると息苦しく感じた。ゆっくりと坂道を登っても、心拍数は上がり、呼吸が激しくなる。
これからここで3泊して高度順化を行う。
4800m程度の高度順化をすれば、チョモランマのベースキャンプにはスムースに入れるだろう。
とにもかくにもここでゆっくり腰を落ち着けるのが楽しみだ。